地中熱利用とは、水熱源ヒートポンプを用いて、地中から熱を取り出したり、熱を放出したりするシステムです。地中の温度は、夏期は外気温より低く、冬期は外気温より高いことから、こうした性質を利用し、エネルギー消費効率を大幅に向上させることが可能なシステムです。
さらに大気に熱を放出せず、ヒートアイランド抑制にも寄与するものです。
欧米では広く普及しており、我が国においても施工方法等について研究・開発が進み、実用化の取り組みがなされております。本地域においては、「基礎杭利用方式」、「ボアホール方式」の両方法を採用、それぞれの特長を活かし、地中の熱を効率的に採放熱し、エネルギー消費効率を高めてまいります。
地中に熱交換用のチューブ(高密度ポリエチレン管)を敷設し、そのチューブ内に水を循環させ、地中の熱と熱交換(採放熱)を行うことで、大気との熱交換と比較して、より効率的な冷暖房が可能になるシステムです。
これは、気温は季節で変わりますが、地中の温度が年間を通じてほぼ一定であることから、大気と比べ、数段効率的な熱交換が可能になることによります。
加えて、熱交換用チューブ内を循環し、熱交換(採放熱)され、冷たくなったり、温かくなった水を、「水熱源ヒートポンプ」を用いて、さらに冷たい「冷水」、さらに温かい「温水」に変換、冷暖房用に供給するものです。
なお、「ヒートポンプ」とは、大気中や地中の熱(=ヒート)をくみ上げて(=ポンプ)、その熱エネルギーをより高いレベルに上げたり、低いレベルに下げる技術(コンプレッサー、凝縮器、膨張弁、蒸発器)を用いて、エネルギー効率の高い冷暖房を可能にする装置であり、近年、技術進歩により顕著な性能向上が図られています。
当地域冷暖房の供給地域、メインプラント、サブプラント位置、並びに地中熱の採放熱場所は、左の図の通りです。
また、両プラントに設置する主要機器は、下記の表と図の通りです。
この中の「水熱源ヒートポンプ」、「熱交換用チューブ」が地中熱利用システムです。
機器名称 | 基数 | 仕様 | |
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メインプラント (東京スカイツリータウン ウエストヤード地下2F) |
水熱源ヒートポンプ (地中熱利用) |
1 | 冷却能力:50RT(632MJ/h) 加熱能力:800MJ/h |
地中熱システムフロー
当地域では、地中において採放熱する熱交換用チューブを敷設する方式として、基礎杭を利用し、杭に採放熱用の熱交換チューブを取り付ける「基礎杭利用方式」、地下に掘削した垂直孔の中に採放熱用の熱交換用チューブを挿入する「ボアホール方式」の両方式を採用いたしました。
項目 | 内容 |
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基礎杭利用本数 | 6本(杭径:1,900〜2,200mmΦ 杭長:18.6m) Uチューブ10対方式 |
採放熱量 | 基礎杭1本当たり 最大 冷熱:300W/m、温熱:235W/m |
項目 | 内容 |
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ボアホール利用本数 | 21本(掘削径:179mmΦ×深さ120m) ダブルUチューブ方式(2対) |
採放熱量 | ボアホール1本当たり 最大 冷熱:48W/m、温熱:40W/m |
充填材 | 珪砂 |